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【COP14】生物多様性と気候変動:EUサイドイベントより

EUが開いているサイドイベントで、気候変動が生物多様性に与える影響を考えるためのモデル・ネットワーク・プログラムについて紹介がありました。短いプレゼンの中ですべてを把握することはできなかったため、詳しくは調べれば分かると思い、名前だけメモしてきました。

ALARM:主にヨーロッパのネットワークだが、世界各国にパートナーがある。生物多様性についての総合的なリスクアセスメントを行っている。MACIS:気候変動の最小化と適応の方法について検討COCONUT:主にHabitat fragmentationについて。土地利用の情報から生物多様性へのインパクトを予測。

いずれも、科学面から気候変動と生物多様性の関係を扱ったものですが、生物多様性の分野ではそれほど真新しいものではありません(日本でも似たような取組はされていると思います)。ただ、そのような話が気候変動の締約国会議の場(注1)でされるのは、注目したいと思います。

政策面についても触れられていました。生物多様性と気候変動は表裏一体のものであるが、いまだに別々に扱われています。発表者が言っていたとおり、生物多様性に支えられた、変化に対してresilient(「打たれ強い」と訳せばよいでしょうか?)な生態系が、気候変動への適応において重要という考えを定着させることが、気候変動枠組条約と生物多様性条約の相乗効果のために必要です。

今回のCOPでは、REDDの議論で生物多様性が取り上げられています。一方、このサイドイベントでは、REDDを意識せずに生物多様性が扱われていました。

(注1)このサイドイベントはEUパビリオンでのイベントで、条約事務局のスクリーン・承認を受けたものではありません。

【COP14】コペンハーゲンまで秒読み

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会議が終了後、スクリーンには、来年のコペンハーゲンでのCOP15までの秒読みが映し出されました。
今回の投稿はこれで終了します。お付きあいいただき、ありがとうございました。

YN

【COP14】アル・ゴアがスピーチ

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(宿でネットが使えなかったので、帰国してから投稿しています)
12月12日、会議の最終日、アル・ゴアがスピーチをしました。いつもどおり、すばらしいスピーチでした。気温上昇を2度以内に抑えるために大気中の二酸化炭素濃度を450ppmを目指して対策を考えていますが、350ppmを目指すべきという主張がありました。目標が350であろうと450であろうと、今取るべき行動はほとんど変わらない。今すぐ行動を起こすべき。

ノーベル賞受賞の際のスピーチでも同様なことを言っていましたが、気候変動問題は深刻かつ早急な対策が求められるため、来年のコペンハーゲンでもCOP15までに、国家元首が集まる会議を数回開くに値する、と訴えていました。

テキストや映像はネットで見れると思うので、詳細はそちらで確認してください。

【COP14】会議終了

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日付が変わって12月13日、午前3時。会議が終了しました。適応基金は運用できるようになりましたが、適応基金の財源を拡大することができなかったことについて、多くの途上国が非常に強い言葉で残念さを表現していました。気候変動の議論は、人間の生命、存在にかかわることとして議論されています。

ハイレベルセグメントでは、斉藤環境大臣が、日本の温暖化対策の中期目標を来年の適切なときに発表すると述べていました。

【COP14】ガイアナの森林保護と先住民族(サイドイベント12/11)

南米大陸の北にあるガイアナが開いたCreating incentives to avoid deforestation(森林減少を防止するインセンティブの創出)というサイドイベントに参加してきました。Jagdeo大統領が自ら説明に加わり、会場からの質問に答えていらっしゃいました。

ガイアナは、森林率が高く森林減少率が低い国のひとつです。森林が残っているのは、厳しい森林管理の取組があるからで、何もしないのに残っているということではありません。実際に、森林伐採を求める申請は常にあるそうです。過去の森林減少率をベースラインにすると、ガイアナのような国にはインセンティブがもたらされません。そこで、機会コストを試算したということです。努力により森林減少率を低く抑えている国をREDDにどう位置づけるか、参考になると思います。詳しくはガイアナ政府のHPにあるそうです。
www.gina.gov.gy

今回は、先住民族との関係について、大統領の説明について注目したいと思います。会場から、先住民族の権利(侵害)について質問があったのですが、Jagdeo大統領が非常に熱く次のように答えていらっしゃいました。
 直接ガイアナを見たことがありますか?私は先住民族のグループと直接話をしてるし、リーダーのほとんどを個人的に知っている。(正確な数字はメモできなかったのですが、155のグループがあり、その2/3のリーダーと直接話をしているとおっしゃっていたと思います)先住民族の人を私の内閣にも選んでいる。ガイアナでは先住民族の権利は尊重している。COPの会場にはGeorgetown(ガイアナの首都)の団体が騒いでいるが、彼らは地元の人たちをまったく知らないし、先住民族の出身でもない。

会議の場で聞かれる先住民族の権利とは、誰の権利で、誰を代表した意見で、クレームが出てきている背景は何であるのか、などを見極めて情報を消化する必要があると思っていました。Jagdeo大統領のご説明を聞いて、この点を改めて認識しました。

【COP14】エクアドル・Socio Bosqueサイドイベント(12/9)

REDDについては、すでに国内政策として取組を進めている国がいくつかあります。今回は、そのような国のひとつ、エクアドルのSocio Bosqueプログラムについてお知らせします。REDDの交渉が停滞気味のなか、途上国から国際交渉を先取りする取組が出てきています。

「森林パートナーシップ」という名前のプログラムです。環境大臣が自ら説明してくれました。プロジェクトの目的は、7年間で、約100万人と契約し、保護地域に指定されていない400万ヘクタールの森林を保護することが目的です。保護を約束する面積に応じて現金でインセンティブが与えられます(インセンティブの財源は、エクアドル政府の環境基金内に設けられたトラスト基金だそうです)。プログラムへの参加は先住民族の個人または団体の判断に任されています(ボタンタリー)が、契約をすると森林保護が義務化されます。リモートセンシングや現地調査により実際の活動のモニタリングが行われます。

支払われるインセンティブは50ヘクタールまでは年間$30/haです。今まで経済面で全く魅力が無かった森林保護に魅力を与えることで、森林保護を行おうという取組です。森林がもたらす生態系サービスに対して支払いをするPayment for Ecosystem Services(PES)とは区別していました。

今年9月にプログラムが開始されてから、すでに約15000人が参加しており、165,271ヘクタールの保護が約束されています。これからの展開が楽しみです。

Socio Bosqueプログラムは、REDDの交渉に非常に参考になる取組だと思います。参加は自主判断にまかされており、参加を判断する段階で、先住民族とのコンサルテーションがあります。つまり、free, prior informed consentの仕組みがあり、先住民族の権利は尊重されます。また、国がモニタリングを行っているので、国レベルのアカウンティングの体制があります。つまり、REDDの要素が整備されています。国レベルのREDDのデモンストレーション(実証)プロジェクトであるといえます。

今回のREDDに関する議論は、具体的なイメージが無いのに、先住民族の権利上の問題や、Annex I国の逃げ口だとか、方法論の問題など(特に前の2つ)を取り上げて、反対している団体が非常に多いです。そのような団体か…

【COP14】SBSTAプレナリー終了

12月10日午後5時より、SBSTAの全体会議(プレナリー) が開かれ、前回お伝えしたテキストがSBSTAレポートとして承認されました。REDDに関するコンタクトグループの議長は、交渉を大きく前進させる結果にはならなかったことを報告しています。パプア・ニューギニアの代表は、政策面の議論をするAWG-LCAの議論がREDDの議論の進捗にブレーキをかける結果になったとして、ウィットの効いたたとえで、SBSTA議長に、AWG-LCAの行動を活性化を促すように訴えていました(おもしろかったので、下に紹介します)。

そのたとえとは、「たとえ犬が寝ていたとしても、その尻尾を踏めば、たいてい何らかの反応があるもの」というもの。犬がAWG-LCA、尻尾を踏むのがSBSTA議長というわけです。

会合の終わりに、NGOの発言の機会もありました。生物多様性は(おまけのようなニュアンスもある)co-benefitではなく、必須の配慮事項であること、先住民族の権利がテキストに明確に位置づけられていないことはけしからないこと、ハイレベル会合でこれらの点が再度取り上げられて、議論が進展することに期待すること、が述べられました。

また、次回のSBSTA会合までにまとめるテクニカルペーパーの作成の経費は、US$100,000と見積もられ、事務局から、寄付をお願いするアナウンスがありました。

REDDとは別のグループで検討されてきたCO2を分離・回収(capture)し、貯蔵(storage)するプロジェクトをCDMで認めるかどうかについては、コンセンサスが得られず、結論は次回の会合に持ち越されました。これに対して、フランス、サウジアラビア、オーストラリア、ノルウェイ、日本は残念だという発言をしています。一方、安全性が確認されていない・先進国のオフセットとしての位置づけては認められない(ジャマイカ)、安全なのであれば、先人国がまず自国の領土でそれを証明すべき(ベネズエラ)と強い反対の姿勢、ブラジルは、国の長期目標達成のためには重要な課題であるが、永続性と事故の際の責任の所在がまだ不明確で、さらなる議論が必要という発言をしています。発言の内容から判断すると、あまり件せつな議論でな無かったようです。

【COP14】SBSTAテキスト完成

昨晩、紛糾していたREDDの議論は深夜まで続いたようです。先住民族の権利については直接触れないテキストが合意されました。

内容のあらすじです。

・方法論について開催されたワークショップの報告を考慮した(同ワークショップを開催した日本政府に感謝)
・次回のSBSTAでも方法論についての議論を続け、COP15に報告する
・議長が条約事務局のサポートを受けながら専門家会合を組織し、次のSBSTA会合までに下記に関する方法論的課題を議論し報告する
 -森林減少からの排出ベースライン(reference emission level)について
 -森林劣化からの排出ベースライン(reference emission level)について
 -森林保護、持続可能な森林経営、森林転換に伴う温室効果ガスの排出、森林の炭素蓄積の強化が、気候変動緩和とベースラインの設定に与える役割と効果について
 -排出ベースラインと関連するベースラインの関係について
・森林劣化・減少からの排出量の推定に係るコスト、森林の炭素蓄積と改変からの排出量、および炭素蓄積の強化に関するテクニカルペーパーを作成し、次回のSBSTA会合に役立てる
・REDDの実施において、締約国や国際機関、NGOの相互協力が重要
・技術的および組織のキャパビルに必要な情報について、国別の状況、経験、見解をまとめて2月15日までに提出し、次回のSBSTAに役立てる
・締約国とオブザーバーは、必要であれば、先住民族、地元住民に関する課題について、見解を2月15日までに提出する
・REDDに関する情報交換の場としてWEB PLATFORMが立ち上げられた(http://unfccc.int/methods_science/redd/items/4531.php参照)
・上記作業と検討の結果は、来年6月のAWG-LCAの第6回会合に報告する

【COP14】”The Little REDD Book”及びCIのOSIRIS

【COP14】”The Little REDD Book”及びCIのOSIRIS
現在、REDDに関するプロポーザルが、締約国、NGOや科学者団体からUNFCCCに提出されています。このような状況の中、イギリスにある Global Canopy Programmeが、REDD交渉担当者やREDD交渉に関係している人々を対象に、REDDに関してより理解を深めるために、要点をまとめたわかりやすい本を発表しました(詳細は、以下のホームページを参照)。
http://www.globalcanopy.org/main.php?m=5&sm=24&ssm=65&sssm=147
CIのOpen Source Impacts of REDD Incentives Spreadsheet(OSIRIS)に関する簡単な紹介もこの本に掲載されています(90-91ページ)。ちなみに、OSIRISの現段階の結論は、以下です(モデルは、http://www.conservation.orgで直接試すことができます)。
 REDD は、低価格でロバスト(robust)な気候変動緩和策である。
 すべての森林保有国がREDDに参加することが重要である。なぜなら、経済状況によっては、参加していない国で森林減少を加速させる可能性がある。

“Little REDD book”及びCIのOSIRISに興味がある方は、是非ご参照ください。

【COP14】REDD議論、紛糾しています

(昨晩書いた内容です。宿からネットが使えなかったので、今アップします。)

12月9日、REDDの議論は、紛糾しています。午後4:30に予定されていたオープンのコンタクトグループ会合は、キャンセルされ、クローズドの会議でテキストの交渉が続いています。

一部の国が「先住民族の権利」を明確にテキストに書き込むかどうかについてでもめているようです。会場では、先住民族の権利が認められなければREDDはありえないというデモまであったと聞きました。

【COP14】REDDについてのステートメント

CIが働きかけ、REDDについてのステートメントを出しました。来年のCOP15で次期枠組みにREDDを入れるためには、SBSTAでの方法論的議論と並行して、AWG-LCA(条約の下での長期的協力行動に関するアドホック・ ワーキンググループ)において政策的な議論を進めていかなければならないという内容です。

JOINT STATEMENT:
NGO Coalition Recommendations on Inclusion of REDD in AWG-LCA

We strongly recommend that the Ad Hoc Working Group for Long-Term Cooperative Action (AWG-LCA) affirm the commitment of the Parties to pursue discussions on policy approaches and positive incentives as reflected in the conclusions of the REDD workshop under the AWG-LCA in Accra. We furthermore recommend that the AWG-LCA advance negotiation of a REDD mechanism to be concluded in the fifteenth session of the Conference of the Parties.

The report of the REDD workshop in Accra concluded that:
There was a common understanding that the current knowledge of methodological issues was sufficient to initiate discussions on policy approaches and positive incentives. Robust methodologies are important to ensure that emission reductions are real, measurable, reportable …

【COP14】REDD経済学

CIのサイドイベントで、REDDを含めたいくつかのシナリオと、REDDを含まないシナリオの二酸化炭素排出量を比較したモデリング結果の紹介がありました。結果は明らかで、REDDを含まない枠組みの場合、REDDを含んだどのシナリオよりも排出量が多くなるという結果です。一定の炭素の価格の下で、地域差はありますが、結果の傾向は変わりません。このモデルはCIのHP(www.conservation.org)からダウンロードでき、誰でも使うことができます。

先日のForest Day 2でのサイドイベントでも、REDDを含まない枠組みの場合、気温上昇を2度以内に抑えるのに必要な大気中のCO2濃度450ppmの達成は不可能との研究結果が報告されています。アカウンティングのレベル、方法論、先住民族の権利の位置づけなど、REDDの姿かたちはさらに議論が必要だと思いますが、 REDDに取り組まないというのは、地球環境を守るという観点から、どうも分からない主張です。

【COP14】CCBスタンダード第2版が発表される

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気候変動対策(Climate)だけでなく、地元コミュニティー(Community)や生物多様性(Biodiversity)にも効果をもたらすプロジェクトの認証制度として、植林など土地に関するプロジェクトにとって必須ともいえる存在になっているCCBスタンダードの第2版が、COP14のパラレルイベントとして開催されているForest Day(12月6日)で発表されました。
第1版は2005年に発表されています。第1版の内容と比べて、第2版では、次のようなことが強化しています。
・コミュニティー内の社会的、経済的、文化的多様性を記載すること
・Free, prior informed consentが得られている事を示すこと
・負担と利益の公平な分配の方法が示されていること
・カーボンの法的所有権が明確になっていること
・土地所有権に関する問題が起きていないこと(解決していること)
・生物多様性や生態系サービスなどの保全が強化される計画であること
・侵略的な外来種が増えないこと
・REDDプロジェクトでは、森林減少の原因とその率を示し、対策、データ、前提が適当であることを示すこと

気候変動と生物多様性の取組が相乗効果をもたらすための、ひとつの仕掛けとして、さらに発展してほしいと思います。

【COP14】Forest Day 2 でデ・ブア事務局長

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12月6日に開催されたCOP14のパラレルイベントForest Day 2(主催はCIFOR、Forest Day 1 は昨年バリでのCOP13)の閉会式に、条約事務局のデ・ブア事務局長が出席され、主催者がまとめた1日のイベントの成果について、コメントを述べました。
CIFOR(Center for International Forestry Research)事務局長が発表した成果の内容は、CIFORのHPにあります。http://www.cifor.cgiar.org/

気温上昇を2度以内に抑えるためには、森林を含めなければ達成し得ないこと(科学的根拠についての発表がありました)、地元住民の参加を保障する必要があることなど、REDDや植林の重要性が含まれていました。まだ他にもたくさんの成果がまとめられていたのですが、詳しいことは上記サイトで確認してください。

これに対して、デ・ブア事務局長は鋭いコメントを返していました。まず、成果のサマリーの中で、co-benefitについて触れていなかったことに非常にがっかりしているというコメントがありました。条約の事務局でも二酸化炭素だけでない便益を追及の重要性を強く認識している表れだと思いました。そもそも、Forest Dayに参加してくれていることこそ、REDDの話を始めに、森林の議論の重要性をあらわしています。

デ・ブア事務局長はさらに、来年、Forest Day 3をやるのなら、交渉役の人たちも連れてくるようにするように訴えていました。ポズナンの5分程度しか離れていないところで、一方(Forest Day会場)では森林についてすべてを含めようとしていて、もう一方(COP会場)ではできるだけ森林を避けようという動きがあるので、両者がじっくり話し合い着地点を見つけていく必要性は非常に大きいということを、非常にストレートに話していました。

【COP14】REDDのファイナンス

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REDDに必要な資金をどうまかなうかは大きな問題です。国連が進めるUN-REDDについてのサイドイベントがありました。世界銀行のFCPF (Forest Carbon Partnership Facility)も一緒でした。UN-REDDとFCPFは、互いに強調しながら活動しているそうです。
どちらも、来年のCOPで決められる2013年以降の枠組みにREDDを含めるためには、すべてにつして試行したり実証したりしている時間の余裕は無いため、パイロットプロジェクトから始めていくことにしたということです。世銀のFCPFについては、参加して支援を希望する国は、R-PINという、体制構築の考えをまとめた文書を提出することになっています。これはあくまでアイデアをまとめたものですが、この段階でステークホルダーの参加ができなければ、 REDDプロジェクト全体で先住民族・地元住民・土地所有者が無視されると、広く誤解されています。選考を通過した国々は、次にR-PLANを作成します。これは具体的な計画なので、この段階でステークホルダーの参加がどれだけ実現するかが、REDDの成否にかかわるといえるでしょう。

先住民族の代表で、UNPFIIのVictoria Tauli-Corpuzというパワフルな女性がいるのですが、REDDを認めるかどうかは、先住民族の権利が保障されるかどうかにかかっている。国連の先住民族の権利についての宣言(UNDRIP)を尊重する必要性を強く訴えています。REDDが正しく設計されれば、この宣言の具現化につながるという期待と共に、失敗すれば先住民族をさらに苦しめることにつながるという懸念もあわせて伝えていました。上記のような状況から、世銀が「間違いをすることもあるだろう」といったことに対し、「その間違いが先住民族の権利・生活にかかわることでないように願います」と返していたのが印象に残りました。地元の参加は、長期にわたるREDDにとって非常に重要です。COPの交渉では、来年のCOP15が目標になっていますが、地元の住民にとっては、一生影響を受けることですから。

(交渉は、我々が傍聴できないコンタクトグループで進められているため、サイドイベントからの報告が中心になっています)

【COP14】REDD のNational、 Sub-national Approach について

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The Nature Conservancy (TNC) とCIイベントが開催したサイドイベント“Scaling up REDD: from project to national approaches”より

現在、COP14では、REDDの方法論についていくつかの議論が引き続き行われております。中でもsub-national 及びnationalアプローチに関しては、関連各国の意見が分かれており、結論がでるのには、まだ時間がかかりそうです。そもそも、既にREDDが UNFCCCの議題に再浮上するまえから、REDDプロジェクトを実施している国や地域が存在していました。ボリビア、マダガスカル、ホンジュラスなどは、sub-nationalなアプローチでREDDを実施し、その成果に対しては評価されています。そもそも、National approachとはどのようなことでしょうか?世界銀行のFCPFでは、National approachとは、カーボンアカウンティングを国レベルで行い、活動の実施は、地域でも、プロジェクトでもその地域の状況や環境に合わせて行うことを想定しているそうです。つまり、各国の状況により、その国が今まで使ってきた経験を生かしながら、また、ステークホルダーの参加を促しながら、柔軟に対応できるようです。

Sub-nationalで十分準備ができるのであれば、Nationalアプローチで取り組むという仕組みができたとしても対応できるように思えるのですが、nationalかsub-nationalかの議論は、熱く続いています。

本日会場で撮った写真です

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会議場の中は緊迫しておりますが、一歩会場の外に出ますと、開放的な屋内の廊下があり、多くの参加者がそこで雑談をしたり、設置されているブースを見てます。私たちも、同僚や友人などとよくここで雑談や休憩をしております。

【COP14】REDDについて①

昨日のセッションについてレポートします。
SBSTAでREDDについて議論されました。まだ具体的な交渉ではなく、報告に対して各国がコメントをするというものなので、比較的穏やかです。

このセッションでは、東京で開かれたREDDに関する技術面のワークショップの報告があり、それについて締約国からステートメントが出されました。ワークショップの成果は高く評価されていました。ワークショップの結果、REDDを実施するのに必要なテクノロジーはそろっているという点で認識には違いは見られませんでした。ただし、能力構築をどう進めて必要な技術が必要なところにあるようにするかという課題はもちろん残っています。

技術面とは別に、政策や制度面での詰めがまだできていないことも指摘されていました。まず、REDDの実施を国単位(national)でするのか、国をさらに分けた単位(sub-national)でするのか。次に、REDDの効果を評価する基準になる排出量(reference emission scenario)をどう設定するか。これらは、「科学」の世界ではないので、これから熱い議論が交わされるものと思います。大事なことは、世界規模の排出を増やさないようにする仕組みを作り上げるという究極の目標を忘れないことでしょう。REDDでは、排出削減だけでなく、生物多様性や生態系サービスの保全という便益にも目を向ける必要があります。

科学ではない世界で、さらに難しい問題があります。
先住民族や地元住民の権利の問題、先進国の排出削減約束に関連された議論、などがあります。いろいろな場で声が上がっていますが、それは、次の回にレポートします。

【COP14】REDDについて②

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REDDの制度についてはこれから決められていくことなのですが、あたかもすでにその形があり、うまくいかないからダメ、という議論が見受けられます。Critical analysis of REDD: international finance, human rights and false promises of carbon marketsというサイドイベントに行ってきました。内容はタイトルから推察できるとおりのものでした。
REDDを実現するためには、森林のガバナンス(もっと広くは土地利用すべてに関するガバナンス)が不可欠ですが、「1992年に生物多様性条約ができたときに締約国はその約束をしているにもかかわらず進展が見られない課題だから、今回REDDでもうまくいくなんて期待するほうがおかしい」という意見がありました。保護地域制度による森林の保護が成功していないことをさしているのだと思いますが、そういう問題があるかこそ、今、REDDが重要なのではないでしょうか?既存のREDDプロジェクト(バリ・ロードマップのREDDの可能性を実証するデモンストレーションにあたるもの)を例に、先住民族や地元住民に十分な説明や参加の機会、資金の提供が無いことをもって、REDDで考えられているプラス面はうそ、という議論もありました。これもスケールを取り違えた話だと思います。ここの事例を集めて全体を考える段階なのに、個々の事例の話で全体を判断してしまっています。
REDDの仕組みを考える上で重要な課題を指摘することは重要ですが、どうしたらよいのか?という建設的な議論ができなければ、世界的な大問題の解決に向けた動きに対して、無責任だと感じます。

【COP14】今回は昨日のAWG-KPのCDMに関する交渉に関するものです。

昨日の会議模様を報告いたします。今回はAWG-KPのCDMに関する交渉に関するものです。CDM Executive Boardに対して様々な意見が各国から出され、その多くは、批判的なものでした。特に、印象的だったのが、中国及びアフリカ各国から多くの問題点、改善点が指摘されたことです。

指摘されたポイントの概ねは以下です: ◆地域間では、CDMプロジェクトの数に格差がある。(アフリカでは、CDMポロジェクト数は27件) ◆DOEの人数は圧倒的に少なすぎる。(現在18人に対して3000件のプロジェクトのレビューを行わなければならない。) ◆CDMのレビュープロセス、登録、認証にかかる時間が長すぎる。 ◆対途上国へのCDM準備、実施能力育成の支援を強化すべきである。 ◆DOEとプロジェクト責任者が直接対話できるようにする必要がある(評価、審査の透明度が低いため)。 ◆CDMの初期費用が高すぎる。また、プロセスも複雑である。 ◆CDMの方法論をもっと簡素化がする必要がある。 ◆ポスト2012年以降に続く、CDMについてのガイダンスを要求。
アフリカ各国は、国の持続的開発により貢献しやすい小、中規模CDM(特に吸収源)をもっと実施したいと願っています。このため、アフリカ諸国がCDMを実施することによって恩恵を受けることができるよう、この件についてExecutive Boardに検討を要求しました。また、カンボジアは、最貧国がCDMを実施できるよう、簡素化されたルールの構築、適用を訴えていました。各国以外にもIETAや世銀なども、現行の制度や方法を改善する必要があることを指摘し、さらに、今回は、先住民族のグループも、先住民の権利や森林減少などを引き起こすような緩和策、適応策プロジェクトは、実施すべきではないと発言しました。

非常に活発な議論が展開され、約二時間近くこのセッションが続きました。様々な課題が浮き彫りになったが、どのようにこの制度、方法論の問題を改善していくかが、今後の課題であり、先進国のみならず、途上国各国の交渉の手腕が試されることになるように感じました。

【COP14】生物多様性と気候変動:EUサイドイベントより

EUが開いているサイドイベントで、気候変動が生物多様性に与える影響を考えるためのモデル・ネットワーク・プログラムについて紹介がありました。短いプレゼンの中ですべてを把握することはできなかったため、詳しくは調べれば分かると思い、名前だけメモしてきました。
ALARM:主にヨーロッパのネットワークだが、世界各国にパートナーがある。生物多様性についての総合的なリスクアセスメントを行っている。
MACIS:気候変動の最小化と適応の方法について検討
COCONUT:主にHabitat fragmentationについて。土地利用の情報から生物多様性へのインパクトを予測。
いずれも、科学面から気候変動と生物多様性の関係を扱ったものですが、生物多様性の分野ではそれほど真新しいものではありません(日本でも似たような取組はされていると思います)。ただ、そのような話が気候変動の締約国会議の場(注1)でされるのは、注目したいと思います。
政策面についても触れられていました。生物多様性と気候変動は表裏一体のものであるが、いまだに別々に扱われています。発表者が言っていたとおり、生物多様性に支えられた、変化に対してresilient(「打たれ強い」と訳せばよいでしょうか?)な生態系が、気候変動への適応において重要という考えを定着させることが、気候変動枠組条約と生物多様性条約の相乗効果のために必要です。
今回のCOPでは、REDDの議論で生物多様性が取り上げられています。一方、このサイドイベントでは、REDDを意識せずに生物多様性が扱われていました。
(注1)このサイドイベントはEUパビリオンでのイベントで、条約事務局のスクリーン・承認を受けたものではありません。

ポーランド・ポズナンにてCOP14始まる

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本日、12月1日から、ポーランドのポズナンにて、COP14が開会しました。REDDの議論を中心に、本会議とサイドイベントの様子をお伝えしていきます。(ポズナンには、昨日の晩に到着の予定でしたが、濃霧のため、ミュンヘンからの飛行機がポズナンではなくワルシャワに着陸し、4時間バスに乗ってポズナン入りしました。ほぼそのまま会場に来ています。)