【UNFCCCボン会合】UNFCCCボン会合総括

6月6日~17日にわたりドイツ・ボンにおいて実施された国連気候変動枠組条約(UNFCCC)及び京都議定書(KP)の下の特別作業部会(AWG)及び補助機関会合(SB)。今回は主にREDD+や今後のファイナンスを中心に会議を追ってきました。


時間が空いてしまいましたが、個人的な観点から、会議を総括したいと思います。まず、バンコクからの流れを引き継いでしまった、最初3日間のアジェンダ・ファイト。カンクン合意に同意していなかったという某国の主張が、他の途上国をCOP15、果てはさらにさかのぼりバリ行動計画まで戻って交渉することを主張する展開となりました。個人的に、数年間をかけて交渉し続けてきた成果である昨年のカンクン合意を、逆戻りさせる事自体が許されていいものか、大変疑問に思います。UNFCCC会合を一回開催するために、多くの人々が飛行機で移動し、莫大な予算が使われています。


これ以上、時間を無駄使いすることは許されません。もっとポジティブに、真剣に地球の未来や将来世代の事を考えるのなら、アジェンダファイトという形でなく、せめて課題と考えるアジェンダ自体で本気で、激しく、議論をぶつけあう交渉をするべきです。今回は、全体的に各国が本気モードに入っておらず、形式的に議論を先延ばしするための策が講じられたという印象でした。しかし、希望を捨ててはいけません。REDD+のSBSTAの議長による報告書では、9月19日までに各締約国のみならず、UNFCCCに認可されているオブザーバー団体からもREDD+の方法論等、サブスタンスな内容に関わるサブミッションを受け付けることが合意されました。


交渉の遅れが響き、今回REDD+のSBSTAの交渉でも大きな進展を遂げることはできませんでしたが、その分専門性を持つNGO等からも意見を吸い上げ、次回の会合に反映させようという意図です。また、REDD+のSBSTAの会合で多くの国が賛同した専門家会合も、実施を前提に調整されています。REDD+の交渉では、せめて交渉の遅れを取り戻そうという機運が見られます。


私たちは世界の森林保全の歴史上、今までも大きな成果を生み出すことができませんでした。REDD+には、森林にすむ人々の権利や生活、そして森林保全とのバーターとなる農業用地等の開発、最終的には消費国側である我々の生活の改善の必要性等、多くの利権がからんできます。REDD+の実施は、世界の森林保全を成功させるための、最後の砦となるでしょう。だからこそ、各国が最も真剣に取り組む新しい枠組みの一つとなっているのです。


日本でのREDD+の認知度と、世界の認知度のギャップに驚くことが多いですが、これからも微力ながら、REDD+が正しい形で実現することを目指し、努力を続けたいと思います。


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