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OHI目標解説 その3 「場所のイメージ Sense of Place」

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インターン生のFです。今回はOHIの目標の一つ「Sense of place」を紹介します。和訳が難しいのですが、日本語では「場所のイメージ」と訳しています。

私たちが文化的アイデンティティーの一部として大切にしている、沿岸および海洋システムを評価するものです。「場所のイメージ」には、次の2つの要素があります。

★「象徴的な種」
以下の4つの項目の1つ以上が該当する、地域の文化的アイデンティティーを形成する動植物種のことです。
1) 釣りや狩猟といった伝統的な活用および商業利用
2) 地域における宗教的,民族的利用
3) そのものの存在価値
4) 地域における美的価値(観光の目玉になるクジラなど)



象徴種は、WWFがまとめた優先種(Priority Species:人の健康、生計、文化のために特に重要な種)とフラッグシップ種(よく知られている、人気がある種)のリストをもとに選んでいます。グローバルリストには、アホウドリ、サケ、サメ、クジラなどが載っています。全世界を対象に作成されたリストから、各国に関係する種を抽出して国別(EEZ別)リストを作っています。文化的な視点から全世界で種を評価したリストはOHIだけです。その種にIUCNのレッドリストのカテゴリーに基づいて、絶滅の心配が少ないLCと評価されている種は1.0点、逆に絶滅した種は0点、絶滅危惧のENの種は0.4点といった具合に点数を与え、平均します(結果は0から1の間の数字になります)。それぞれの種の個体群の傾向(増減)や脅威になるもの、講じられている対策の有無も加味して最終的な評価点が計算されます。

★「特別な場所」  
「特別な場所」とは、美的、精神的、存在価値的、レクリエーション的価値をもつ「場所」のことです。それらが改変されたり破壊されたりしないように保護されているかどうかを定量化して評価します。「特別な場所」はどう選ぶかですが、そのようなものを世界全体で評価した資料はありません。そこで、保護地域がそれにあたるとしました。明らかに大雑把ですが、全く見当違いではないでしょう。問題は、参照点(目標)をどう設定するかです。今回は、世界中で、特別な場所の海岸域全体に対する割合は30%であると仮定しました。そして、現状の保護地域の割合が目標である30%にどれだけ近いか遠いかを評価しています(現状の%÷30%。…

【UNFCCC COP18】CIによるCOP18総括/地球温暖化交渉の行方は?

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気候変動プログラム・ディレクターYです。ご存知のとおり、先週現地時間の8日(土)夜、COP18は「ドーハ合意(Doha Climate Gateway)」を採択し、閉幕しました。今回の会合に関して、様々な団体やメディアより、既に評価が発表されています。我々コンサベーション・インターナショナルは、団体の信念として、どんな苛酷な課題に対しても「楽観論(Optimism)」で最善を尽くすことを掲げています。
 しかし、今回の気候変動枠組み条約第18回締約国会議(COP18)に対しては、我々としては大変珍しく、その結果を厳しく評価する声明文を発表しました。以下、団体ウェブサイトよりご覧下さい。
http://www.conservation.org/global/japan/news/Pages/Divided_Nations.aspx
 なぜ、本来楽観的である我々が、今回このような声明を出したのか?それは、現場の実践に基づき、革新的メカニズムや政策的インプットを実施する団体として、今回の会議がベストを尽くしたものとはとても評価できないからです。
 気候変動による途上国への影響は、既に我々が様々な事業を実施する場所で観測され、事業内容の中核と位置付けられています。気候変動への適応、温室効果ガスの削減のみならず、生物多様性保全や地元コミュニティへの支援策の一つとなるREDD+(森林の減少および劣化に由来する排出の削減)などです。そして、我々は、そのような事業を進めるにあたり、各国政府、企業、地元コミュニティ、国際機関等、様々なアクターを巻き込み、既に事業を実践しています。未来の子供達が、より困ることがないように。
 現場に根付き、現場の人々とともに事業を展開する団体として、今回の会議の結果自体に脅威を覚えざるを得ません。来年以降、更に交渉が進展し、一日も早く世界全体で一丸となって気候変動問題に立ち向かっていく必要があります。

【UNFCCC COP18】温暖化会議における交渉術とは?

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期間を1日延長し開催され続けていたCOP18は、現地時間の12月8日(土)の夜、突然現れたカタール議長が、LCA、京都議定書、ダーバンプラットフォームの全ての文書を「ドーハ・クライメート・ゲートウェイ」と呼ばれるパッケージでの合意文書を声高らかに読み上げ、一瞬のすきも与えずに小槌を降ろし、採択してしまいました。会場からは、賛同とも非難ともとれる拍手喝采。ロシアに至っては「外交的に自国は通常こんな事はしないのだが、採択前に自分の国のプレートを立て、机に叩きつけていたのに、無視された」と怒りを表明。その後、ロシアに続き、このパッケージに関する様々な懸念事項を読み上げる国々。今回の会議は、密室での会議が急に表舞台に現れ、採択されるという、我々NGOにとっては何らかの形で貢献しようにも難しい展開で終幕を迎えました。そして、多くの国の間で交渉に対する溝が深まったままであることも、露呈しました。「ドーハ・クライメート・ゲートウェイ」に対するCIとしての見解は、近日中にアップします。
 しかし、今回ほど、国連での交渉術、というのを考えさせられた会議はありません。先日ブログで報告した、長浜大臣の演説日、日本は国際環境NGOが交渉に後ろ向きな国などに送る「化石賞」を受賞。(注:筆者はこのプロセスとは全く無関係です)。2020年時の削減目標や2013年以降の資金援助など、日本による実質的な貢献を示す内容が入っていなかったのが原因と書かれていました。  一方、京都議定書のClosing Plenaryでのフィリピン政府のスピーチは、ある意味圧巻でした。日本が第2約束期間を離脱した京都議定書の作業部会は、決着つかずに閣僚級会合に送られることになったのですが、そのClosing Plenaryにて、フィリピンの交渉官がフロアを一度取ろうとしましたが、なぜか他の国がしゃべってから、と言って先進国グループに先にしゃべらせました。当然意見が対立している相手です。その後、フロアを取り直し、先日フィリピンを襲った台風の被害、気候変動により自国の人々が死に至り、数えきれないほどの人々が路頭に迷っているいる現状、そして将来世代に向かって今、この場で、恥じることのない決断をしなければいけない、と訴えながら、最後は感極まって涙声になってしまったのです。交渉官は男性。これはたくみに仕組まれた演出とも言えな…

【UNFCCC COP18】:長浜環境大臣のスピーチ

気候変動プログラム・ディレクターのYです。カタール時間12月5日(水)午後1時過ぎに、日本政府を代表して長浜環境大臣のスピーチがありました。以下、抜粋です。
「2015年のADP合意、2020年の発足に向け、作業計画を詰める事と、京都議定書とLCAをクローズする事が重要。日本は東日本大震災と原発事故で未だに困難な状況にあるが、気候変動に立ち向かう意識を失ってはいない。2050年までに温室効果ガスを半減する世界的目標と、日本として2050年までに80%の削減目標を達成する長期目標を目指す。再生可能エネルギーの普及などで、グリーンエネルギーを促進。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度や、地球温暖化対策税等も導入した。2010年~2012年の初期支援のうち、日本は先進国全体300億米ドルのうち、133億米ドルを拠出。2013年以降も支援を実施していく。」
さて、この内容がどのような国際的評価を受けるのか。現地での生の声を、またお伝えしたいと思います。

【UNFCCC COP18】閣僚級会合突入・長浜環境大臣のスピーチに注目

気候変動プログラムディレクターYです。現地時間12月5日(水)、昨日より閣僚級の演説が始まり、本日より閣僚級での会合が開始されます。日本の長浜環境大臣は、あと1時間程で演説予定です。世界中の国々が、日本の演説の内容に注目しています。内容と現地での反応を、後ほどお伝えします。
 LCA, KPは本日もクローズドでの調整が続行。夜9時からKPの交渉の決着をつけるクロージング・プレナリーが予定されていますが、おそらく時間通りには始まらないでしょう。明日の朝未明までの交渉に備え、私も体力温存・体調維持作戦です・・・。食べれるときに、食べておかなければ。

【UNFCCC COP18】:Forest Day: 「緑の気候基金」と森林

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気候変動プログラム・ディレクターのYです。2日前となりますが、毎年恒例、交渉期間中日の日曜日に開催される「Forest Day 6」に参加してきました。世界中から森林に関わる様々なセクターの人々が参加して行われるイベントです。政府や国際機関のハイレベルなポジションの人々を迎えつつ、参加型のセッションで活発な議論を促進するイベントとして、森林関係の人々にとっては外せないイベントの一つです。   午前中は、「森林減少の要因」のセッションに参加しました。各大陸で森林減少の要因に大きな違いがあり、そのため全く違う対策を取る必要がある事など、興味深い発表を聞く事ができました。その後、参加者全員で近くの人たちと「森林減少の要因」について協議し、発表する参加型のセッションに発展。国際的な需要による森林減少など「需要と供給」のテーマが多く提言されていたので、私は地元の人々と政府双方が参加して「森林減少の要因」を参加型で協議し、合意形成するプロセスの重要性を指摘しました。森林減少の要因が正確に確定されなければ、対応策が間違ってしまうためです。   午後は、「REDD+のファイナンス・ギャップ」のセッションに参加しました。2か月前に地球環境ファシリティ(GEF)総裁に就任した、石井菜穂子氏やノルウェイ環境省長官や企業トップとともに登壇。GEFは、「緑の気候基金(GCF)」の設立を運営する機関として注目を集めており、幅広い環境分野に資金提供してきたことから、REDD+への資金提供への期待が高まっています。石井氏からは、気候変動問題に対処するための資金不足や公的・民間資金のコーディネーションの重要性、また長期的な課題である森林問題に立ち向かうためには、短期的な計画のみでは達成が難しいとの指摘がありました。森林が持つ様々な価値、またその経済価値を認めるスキームである生態系サービスへの支払い(PES)等の重要性も言及されました。  興味深い発言の一つは、プルーデンシャル・アジア会長からの洞察でした。金融機関の専門家として森林問題に個人的に興味を持つ彼からは、政府や企業をはじめ、多様なステークホルダーが「REDD+」や「森林減少問題」に取り組もうとするとき、それぞれがもつ「Perspective(とらえ方)」が全く違う事が最大の課題であると指摘されました。基本的な指摘ですが、過去…

【UNFCCC COP18】:REDD+のSBSTA交渉、資金問題で難航

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気候変動プログラム・ディレクターのYです。交渉6日目、現地時間土曜日の18時半より、やっとREDD+のSBSTAの「コンタクト・グループ」が開催されました。本来なら、各SBSTAがSBSTA議長に対して報告を行う「SBSTAプレナリー」が行われている時間を、とっくに過ぎています。ここにこぎつけるまで、REDD+の交渉官の方々は、水曜日より断続的に夜遅くまで交渉を続け、最後は土曜の明け方5時まで交渉、小休止して同日午前10時から交渉再開、午後6時になり、やっと我々NGOが入れるコンタクト・グループが開かれました。本来、コンタクト・グループとは、クローズドで行われた会議の結果を受けテキストを確認し、各国が簡単に意見を述べて終わり、SBSTAプレナリーに向けてSBSTAを閉めるのが通例です。
 会場に立ち込める、異様な空気。女性交渉官の方々は、シャワーも浴びず徹夜で交渉や根回しに奔走していたため、メイクが崩れ眼の下が真っ黒。Co-Chairが会議を開始するも、あまりの疲れに呂律がまわりません。Co-Chairが今後のプロセスについて説明しても、聞く方も疲れていて理解できないため、もう一度言って欲しいとのリクエスト。まだ決着はついていなかったのです。
 今回のSBSTAで議論されたのは「森林モニタリングシステムと計測、報告、検証(MRV)」でした。REDD+のSBSTAの複数の議題の中で、技術論に終始し、ある程度前回のボン会合で土台ができあがっていたため、着地点が一番近いと思われていたものです。しかし、今回のSBSTAでは、途上国グループが、「予測可能な資金と技術協力がある前提で、森林モニタリングに取り組む」という、本来ならREDD+の資金的課題を扱うLCAで交渉すべき文章をSBSTAのテキストとして提案。SBSTAはあくまでも科学的側面から方法論を交渉すべき場所なので、先進国側は猛反発。みんな何とか着地点を見出そうと、必死です。コンタクト・グループの途中で、途上国グループより「途上国内で課題となっているパラの決議に向けた調整の合意を取り付けるから、この場で5分欲しい」との要請。会場の後部に続々と集まり、議論を続けます。こんなコンタクト・グループを見たのは、初めてです。
7分経過後、途上国側より、「着地点を見出せると思うので、これから問題となっているパラグラフ(資金との関連性…

【UNFCCC COP18】CIサイドイベント REDD+における企業の役割

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気候変動プログラム・ディレクターのYです。交渉6日目、現地時間土曜日です。全てのSBSTAとLCAの協議が遅れに遅れ、本日午後早めに予定されていたSBSTAの報告セッションは、現時点で夜19時開始予定。が、これも本当にあるかどうか分かりません。LCAでは、現在クローズドで議長が各国からの意見を吸い上げる「ストック・テーキング」という会議を行っています。ということで、今日はまだ何も書く事がないので、今週木曜日に開催されたCI主催サイドイベント「企業によるREDD+への投資」の報告をします。以下の5名が参加し、発表を行いました。
1.Agustin Silvani -マネージング・ディレクター/カーボンファイナンス/ CI 森林減少による世界の年間温室効果ガス排出量が約16%を占める中、森林保全は最も効率的で費用対効果の高い気候変動対策。現時点では、森林由来のクレジットはボランタリー市場を中心にした取引が顕著。CIでは世界20カ国以上で様々な森林再生・保全イニシアチブを実施する他、REDD+の実施に必要な様々なツールを開発。現在、世界銀行IFCや民間金融機関等と、REDD+への投資を前提としたボンドを構想中。
2.Eduardo Durand - Climate Change Lead ペルー政府 ペルー政府は、2010年6月にUNFCCC事務局に対し、「途上国による適切な緩和行動(NAMAs)」を提出。主にアマゾン地域を対象としたREDD+イニシアチブは、NAMAの中に明確に位置付けられている。REDD+イニシアチブとして、アルトマヨ地域(CIとの連携により、Verified Carbon Standards/VCSの有効化と検証を終了)、州レベル、国家レベルへとREDD+プログラムを展開していく「Tiered Approach」を採用。アルトマヨのREDD+イニシアチブには、CIの支援によりディズニー社が投資。
3.Jorge Mario Rodriguez - Director General, FONAFIFO, コスタリカ政府 世界で初めて、「生態系サービスへの支払い(Payment for Ecosystem Services)」を法制化し、環境破壊の危機に瀕していたコスタリカの森林回復に成功。エコツーリズム、コーヒー栽培、森林保全に貢献する民間企業へのインセンティブ…

【UNFCCC COP18】:LCAの着地点は?

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気候変動プログラム・ディレクターのYです。COP18に入って交渉5日目、現地時間金曜日を迎えています。現時点で、既に多くの会議がクローズドに突入、密室会議が進行しています。私が追っているテーマの一つである「途上国の森林の減少と劣化に由来する排出の削減(REDD+)」に関しても、「条約の下での長期的協力の行動のための第15-2回特別作業部会(AWG-LCA15-2)」と、「科学的な知見から対応策を協議する「気候変動枠組条約第37回補助機関会合(SB37)」で一回ずつ公開の会議が行われましたが、その後はすぐにクローズの会議に。現在SBSTAでは、朝から晩まで各国の交渉官によるテキスト交渉が続いています。 REDD+は、森林地に住む地域社会や先住民族の権利を尊重しながら実施することが大前提であり、土地利用権やガバナンス等、多岐にわたる問題が複雑に絡むため、昨年まではAWG-LCAはNGOに対しても公開で進んできました。しかし、本年からは他のアジェンダと同様、最初の1回の公開セッション後は全てが密室会議に持ち込まれています。これについて、異論を唱える締約国もいましたが、くつがえすことはできませんでした。大変残念に思います。 LCAはあと1週間で結論を迎え、ADPへと引き継がれて行かなければいけないのですが、多くのアジェンダで途上国と先進国との意見が対立、交渉の遅れが見られます。また、今年はLCA議長をサウジアラビアの方が務めているのですが、遅れを挽回するために準備する「議長テキスト」がバリ行動計画に遡る傾向が強く、議長がテキストを準備することに多くの先進国が反発する、という異例の事態が起きています。今朝参加した「測定、報告、検証可能な先進国/途上国による適切な削減行動と数値目標」の会合では、途上国の議論に入ったところで、明日議長テキストが出されるとの通告がありました。とたんに、「今協議している事項に対して、いったいなぜ明日議長テキストが出るのか、テキストは締約国が話し合って作成すべき」と、多くの先進国が一斉に反発意見を述べていました。
その他のLCAも、混迷を極めています。この事態の打開に向けて、最低でも以下が必要と考えます。
1.先進国・途上国ともに、削減目標と野心の引き上げに積極的に取り組む姿勢を見せる
2.LCAの全てのアジェンダで課題となっているのが、ダーバンプラットフォー…

【UNFCCC COP18】:地球温暖化交渉、ドーハで開幕!

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気候変動プログラム・ディレクターのYです。11月26(月)から12月7(金)の予定でドーハ(カタール)で開催される気候変動枠組み条約会議第18回締約国会議(UNFCCC COP18)に参加しています。今回の会合では、交渉が大きく分けても、何と7つのトラックに分かれて進行されます。いくつか例を挙げると、科学的な知見から対応策を協議する「気候変動枠組条約第37回補助機関会合(SB37)」。SBからの報告を受け、正式に長期的な行動に向けた交渉文書を決定していく「条約の下での長期的協力の行動のための第15-2回特別作業部会(AWG-LCA15-2)」。日本が昨年のダーバンで開催されたCOP17で第2約束期間からの離脱を表明した京都議定書に関わる「京都議定書第8回締約国会合(AWG-KP18)」。さらに、昨年のCOP17で誕生した、全世界の参加を前提に2015年までに合意、2020年に発効を目指す「ダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP)」、等です。  特に、「長期的協力の行動(LCA)」は、2012年中にクローズされることが前提とされています。そして、昨年のCOP17で合意した「ダーバン合意」の具体的な交渉に突入、というのが本来の筋書きですが、昨日のLCA会合では、既に先進国と途上国によるLCAのクローズに向けた見解での対立が明確になりました。とはいえ、本年中のクローズを目前に時間がない中、コンタクト・グループやスピン・オフグループと呼ばれる小グループに分かれ、賛否両論の議長テキストを交渉していこう、という事にはなりました。UNFCCCでは、昨今このようにすぐに会議が「クローズ」になってしまい、私たちNGO等が交渉の内容を追う事の出来ない密室会議になってしまいます。そのため、現地で様々な交渉官の方々と意見交換をしながら交渉の内容に遅ればせながらも必死で追いつき、インプットをする努力がこれから2週間続くわけです。  私は、CIが多くの国で既に国の政策や実践活動を開始している「途上国の森林の減少と劣化に由来する排出の削減(REDD+)」のSBSTA、LCA、ダーバン・プラットフォーム(ADPと呼ばれます)等を追って報告していきます。マニアックな内容になりがちですが、生で会議に出ているからこその報告をしていきたいと思いますので、2週間、是非お付き合い下さい。
それにしても、今…

【CIインターンレポート】企業による森林保全社会を通じた地球温暖化セミナー

企業による森林保全社会を通じた地球温暖化セミナー その1
インターンの藤田です。 先日、住友林業様で開催された「企業による森林保全社会を通じた地球温暖化セミナー」に聴講させていただきました。 今回は地球環境戦略研究機関の二宮康司氏,そしてコンサベーション・インターナショナル・ジャパンから山下加夏氏のご講演をレポートしたいと思います。

「地球温暖化対策と市場メカニズム 現状と今後の課題」
 まず、二宮氏のご講演は市場メカニズムがいかに地球温暖化対策に取り入れられており、今後どのように運用されるべきであるか、といった内容でした。 二宮氏によると、まず温室効果ガス(GHG)の排出を削減することが地球温暖化を回避するために必要であるという認識のもとで、排出量削減の国際的なメカニズムが生まれました。排出量取引*です。  (*ちなみに、「排出量取引」に類似するものとして排出権取引,排出枠取引,排出許可書取引などがありますが、環境省としては「排出量取引」の名称を用いているそうです。 排出権取引は日本の法律に「排出権」なる権利は存在しないからということのようです。)
この排出量取引ですが、二宮氏がご講演で繰り返し強調されたのは  「排出量取引は,それが実行されるかされないかにかかわらず、大気中に排出されるGHGの排出総量は変わらないが、決められた排出総量まで削減するためのコストを低くし、故に全体でコストを下げることができる」というメリットです。
たしかに、キャップ・アンド・トレードでは排出枠を取引することによって排出枠内で抑えるコストを低くし、さらには途上国で排出量を減少させて、そのキャップを買い取ることは途上国にとっても先進国にとっても大きな利益です。
一方で、デメリットも存在すると二宮氏は語ります。

デメリットとは… ★排出枠の公平な分配が困難であること ★配分の仕方によっては極めて不公平な状況が生じること ★GHG排出量の正確かつ公平な測定が容易ではないこと ★GHGは可視化することができないので、そのMRV(測定,報告,検証)のための公平なルールの確立,実施体制,監視体制の整備が必要であること ★そのような公平かつ実効性のあるMRVの仕組みを作ることが非常に困難であること

以上の点です。
さらに、もうひとつ重要な課題があります。
それは「排出枠が足りなくなったら?」という問題です。

二宮氏は「他国が排出枠を売却し…

生物多様性条約COP11報告No5 資金動員の合意により閉幕

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COP11に参加していた生態系政策マネージャーのNです。COP11は、資金の議論が長引きましたが、大きな成果をあげて日付をまたいだ20日未明に閉幕しました。私は帰国のフライトの関係で最後までいられなかったのですが残念です。CIは早速プレスリリースを出しました。下記は和訳版です。



コンサベーション・インターナショナルは生物多様性に資金提供する決定を歓迎
COP11で、約200カ国の代表は、2015年までに、先進国から途上国に流れる資金を倍増することに合意した。

インド・ハイデラバード(2012年10月20日) 生物多様性条約第11回締約国会議の閉幕に当たり、コンサベーション・インターナショナル(CI)は地球の生物多様性を守るために意味ある前進がなされたことを歓迎する。生物多様性は、人類の生活に不可欠な再生可能な自然資本である。同時にCIは、急速な生物多様性の損失を止めるには、2020年までにさらに多くの取り組みが必要とも主張する。

締約国は、先進国から途上国への国際資金フローを2015年までに倍にするという目標を設定した。同じレベルの投資は2020年まで維持される。

「この合意につながった建設的な姿勢と協力を評価し、愛知ターゲットの達成に向けて前進する勢いが得られたことをうれしく思うが、世界の生物多様性を守るために必要なリソースの大きさを考えると、投資レベルが実際にどうなり、それが十分なのかどうかについて懸念を持っている」と、CIの生物多様性・生態系サービス担当ディレクターのリナ・バレラは語る。

さらに、「必要とされる総額は数千億ドルであるが、我々の計算によると、今から2020年までの間、国際援助に向けられる公的資金を毎年平均で120億ドル、途上国を含めるすべての国における生物多様性のための予算を毎年平均で480億ドル増やすことで達成できます」と語る。

CI会長のラッセル・ミッターマイヤーは、「持続可能な開発と生物多様性をいっしょに考える意識が深まっていることは、明るい兆しです。長期的に持続可能な経済成長は、国家計画で自然資本の価値をしっかりと位置付けているかどうかにかかっています。」と語る。

この原則は、CIがボツワナ政府とともに開催したアフリカ持続可能性サミットで調印されたガボロネ宣言で支持されている。今年6月のリオ+20サミットでは、50を超える国と86の企業…

生物多様性条約COP11報告No4: CEPFレセプション

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CEPFにヨーロッパ委員会が参加することになりました。5年間で1800万ユーロを、ホットスポットで活動する団体を支援して生物多様性の保全を推進するために提供されます。 10月15日、COP11が開催されている会場HICCの近くのWestinホテルで、CEPFにヨーロッパ委員会が参加することになった歓迎レセプションがありました。生物多様性条約のディアス事務局長、GEFのCEO石井さん、環境省の星野審議官らが、ヨーロッパ委員会のフォルケンバーグ環境長官を歓迎しました。会場のホテルのカウントでは、167人が参加しました。 レセプションでは、CEPFの活動を紹介するビデオが投影されました。
CEPFはこれまでに1200万haの保護地域、3000万haの生産地域(農林水産)に関わる約1700の団体を支援してきました。新しいメンバーが加わることで、活動がさらに拡大することが楽しみです。

生物多様性条約COP11報告No3: 日本が世界の生物多様性を救うとき!

COP11に参加中の生態系政策マネージャーNです。とうとう最終日ですが、最重要課題が決着していません。
途上国は、今回のCOPでターゲットの議論ができるように、Needsを報告することになっていました(COP10決議)。報告したのは20数カ国ということで、それでは議論ができないではないかという先進国。それに対し、愛知ターゲット達成には資金が絶対必要で資金提供はCOP10合意のパッケージの一つで、そのための目標設定に応じないのは許せないという途上国。どちらも約束を果たしていない、だましたのか、という議論です。どちらの言い分も一理あるあるのですが、そのためにどちらにも収束しません。先進国の経済が芳しくないのも原因でしょう。
考えなければいけないのは、①いくら要求しても、ニーズ評価の報告がこのCOP中に提出されることはないこと、②資金・リソースを大幅に増やさなければ愛知ターゲットは紙切れ同然になるが、それは誰も望まないこと、でしょう。交渉がこのような状況になるのは、会議の前から分かっていました。CIのポジションペーパーもそれを意識して作られました。
本当にまともな議論ができないほど情報がないのでしょうか?どこから手をつけていいかわからない状況なのでしょうか?違います。緊急に手を打つべきことは分かっています。そのために何をしなければいけないか、そのために何が必要かも分かっています。資金の流れを2015年までに倍にすること、2年後のCOP12までに必要なリソースを報告すること、予算計画を立てること、を求める決議案が議論されています。
本当に世界の生物多様性は重要だと考えているか?食料から工業資源まで日本人の生活は海外の生物多様性とそれから得られる生態系サービスに支えられていると同時に、影響も与えています。世界の生物多様性が日本にとって重要でないはずがないのです。現在の交渉では、日本一国の姿勢が、世界全体の愛知ターゲットに向けた取り組みを左右する状況になっています。建設的な議論を強く求めたいと思います。

生物多様性条約COP11報告No2

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生物多様性条約COP11に参加している生態系政策マネージャーのNです。 只今(10/16)、ハイレベルセグメントの開会式が終わりました。 大きなニュースは、インドのシン首相が、インドが議長国の間に、国内のキャパビルと生物多様性関連活動の実施に5000万米ドルを用意すると発表したことでしょうか。今回のCOPの最大の課題は、愛知ターゲット達成のための資源動員(主にお金の動き)について目標を設定することで、先進国からの資金提供を増やすことに加え、途上国でも国内で愛知ターゲット達成に向けた資金を増やすことが議論されています。シン首相の発表は、それを意識しているのは明らかです。先進国が資金提供に消極的(正当な理由はあります)な姿勢でいるところで、途上国、特にホスト国がイニシアティブを示すことで良い結果を導き出そうとしているのでしょう。ただし、この5000万米ドルが、COP10で管首相が発表した「いのちの共生イニシアティブ」のようにすでに用意されていたもののラベルの付け替えなのか、「生物多様性日本基金」のように新しい資金提供なのかは明かにされていません。
進展が見られないこの資金の議論は、まだまだ続きます。私が担当しているREDD+セーフガードも、明日の午後からコンタクトグループの交渉が再開されます。前回の報告からあまり前進していないので、がんばらないといけません。残り3日、良い結果に結びつくように、活動を続けたいと思います。

生物多様性条約COP11第1週目の報告(REDD+セーフガード)

インド・ハイデラバードで開催されている生物多様性条約第11回締約国会議(COP11)に参加している生態系政策マネージャーのNです。 私の任務は、REDD+のセーフガードに対する助言に関する議論の働きかけることです。簡単にこれまでの議論を紹介します。

この議題の議論は火曜日のプレナリーで始まりました。2010年に合意されたCBDの必須事項は、この2年の間に2回開催された気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国会議の決議と矛盾するような決議をCBDでするわけにはいかない、(CBDはUNFCCCで議論されているメカニズムについて口出しすべきでない?)といった話や、REDD+とはいったい何を指すのか色々な解釈があるからこの略語は使うべきでない、といった主張が出てきて、いきなり紛糾。

少人数で議論を詰めるため、コンタクトグループが作られ、その夜に最初の会議が開かれました。このコンタクトグループは、プレナリーでの発言の意図をさらに明らかにする場になりましたが、平行線は変わらず、議長がみんなの言い分を聞いて、議論の基となる文書(ノンペーパー)を作ることで落ち着きました。 文書は木曜日の朝に提示されましたが、ブラジルが主張したように、元の文書からたくさんの項目が削除されたものでした。我々の視点からは、ほとんどの歯が抜かれた内容になっていたので、削除されたパラグラフを入れ戻す工作が必要なのは明らかでした。金曜午後、コンタクトグループが再度開かれ、文書を基に交渉できるかどうか議論されました。当然、「よし」とする意見と、「だめ」とする意見があり、3時間ほど議論した後、文書に、削除された項目のうち締約国が復活を求めるものを反映させて議長が再度文書を作成することでひと段落しました。この第2の文書について議論するため、土曜日に3回目のコンタクトグループが開かれることになりました。 土曜朝10時。スケジュールの表示ミスのため、1時間遅れでコンタクトグループが始まりました。最初の文書と第2の文書とSBSTTAから上がってきた元の決議案と、どちらを基に議論するかで当然もめるものと思っていたのですが、不思議なことに、自然と第2の文書から議論が始まりました。とりあえずの前進です。しかし、これは結果論ですが、最初から、元の決議案にプレナリーの議論を反映させた文書を作って議論をしていれば、水曜日からほぼ同じ文書を基…

OHI目標解説 その2 「食糧供給」

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広報の磯部です。

CIスタッフが解説する、「海洋健全度指数(Ocean Health Index:OHI)」を構成する10の目標。それぞれの目標は、人が海から得ている“便益”という観点で設定されています。第2回目にご紹介する目標は、「食糧供給」についてです。

私たち日本人にとって食卓にならぶ魚介類は、古くから馴染みのある日常的な食べ物です。日本人の一人当たりの魚介類摂取量は、世界で第6位となっており(※1)、魚介類は私たちの生活に欠かせない食料の一つですが、日本人だけでなく、魚介類は世界人口の約半分以上にたんぱく源を供給しており、4人に一人は、毎日の必要なたんぱく源を魚介類から摂取しています。

昨年世界人口が70億人を突破し、食料として魚介類への依存が今後ますます強まるなか、持続可能な漁業が重要なのは言うまでもありません。

OHIの「食料供給」目標の評価は、「天然漁獲量」と「養殖漁獲量」の二つに分けてデータを使用します。持続可能な状態で漁獲されている、または、養殖されていれば、スコアは100点満点となるわけですが、では“持続可能な”漁業とは、具体的にどのよう評価されるのでしょうか?

「天然漁獲量」では、複数種最大持続可能漁獲量(multispecies Maximum Sustainable Yield:mMSY)を参照しますが、mMSYが過大評価だった場合を考慮し、mMSYで指定された漁獲量の25%をマイナスした75%を基準点として、スコアを算出します。天然魚介類は、現在の主要な食料供給源となっていますが、持続可能な漁業は、長きにわたり海が継続的に魚類を生み出し続けることができるためにとても重要です。

「養殖漁獲量」では、単位面積あたりの養殖量を、同種で世界最大の養殖量の最大値と比較して評価されます。

世界の天然水産資源の漁獲量は下降の一途を辿っており、87%は過剰に獲られているか既に枯渇しているといわれています。

漁業は、そのやり方によって、海洋に大きな影響をもたらします。特に、大型漁船によるトロール漁や巻き網漁などによる混獲は深刻で、目的の魚を獲るために、毎年約730トンもの魚が混獲され、海に投棄されています。例えば、1キロのエビを獲るために、2~10キロの魚が捨てられるのです。また、途上国などの小規模漁業でも、シアン化物という毒を使って魚を獲る漁法や、ダイナマイト爆弾を…

フィランソロピー協会,「自然資本を基盤として経済~RIO+20以降の環境経営~」に参加して。

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こんにちは。インターンの藤田です。
先日、日本フィランソロピー協会の定例セミナーに参加してきました。
日本フィランソロピー協会とは企業の社会貢献活動を中心に、従業員および一般市民のボランティア・マインド・寄付文化を醸成するためさまざまな活動を行っている公益法人です。

講演者、足立直樹氏のお話は、「自然資本を基盤とした経済 ~RIO+20以降の環境経営~」についてでした。主な内容は「”自然資本”という考え方をどのようにして企業経営に取り組み、生物多様性をマネジメントして持続可能な社会を構築するか。」ということでした。以下に講演内容をご紹介したいと思います。
自然資本とは?
 自然資本の「資本」とは、そもそも企業などの活動の元手となるもののことです。 人的資本、貨幣資本、社会資本・・・様々な資本が存在します。
その中で「自然資本」とは、清浄な水を作り出す森林や生態系サービスだったり、豊かな海産物を与えてくれる海であったり、全ての自然を含有した生態系のことであると言えます。
 企業活動と自然資本との関係は切っても切り離せません。 企業の活動が大きくなればなるほど、生態系サービスや生物多様性の恵みに依存していき、逆に、生物多様性に関して、企業は重要なインパクトを持っています。

 このように大きな重要性のある自然資本ですが、今まで目が向けられなかった理由のひとつとして「自然資本の計測がされていない」ことが上げられます。つまり「どのくらいあるかわからない物を管理できない」と思われていたのです。

RIO+20
における自然資本
 そんな折、今年の6月に開催されたRIO+20のサブイベントでは「自然資本」が大きく取り上げられ、「自然資本宣言」が金融機関によって宣言されました。

 自然資本宣言は金融機関が主体となって宣言されました。金融機関と自然資本というのは直接的な関わりが希薄に思われますが、間接的にはあらゆる企業の事業に融資という形で関与します。つまり、金融機関が「自然資本に対して、持続可能な社会にするための重要な要素と認識して、尊重する」という宣言することによって、より持続可能な事業を推進していくことになるのです。
GDPに代わる指標,WAVES
 さて、そんな自然資本ですが、近年この自然資本を計測しようという取り組みが高まっています。TEEBもそのひとつです。TEEB(The Economics of E