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「海洋健全度指数(OHI)の意義と今後の展望

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Yasuです。お盆休み中に、世界の海の健康度を評価した、「海洋健全度指数(Ocean Health Index: OHI)」が、発表されました。新聞やネットニュースでも報道されていたので、目にされた人もいるかもしれません。このOHIは、CIとナショナルジオグラフィック協会、ニューイングランド水族館による研究をベースに、世界60名以上の研究者が参加して開発されたもので、この度、科学誌「ネイチャー」に発表されたものです。

■日本の総合評価は100点満点中の69点 海岸保護や生物多様性、水のきれいさ、零細漁業の可能性など10の目標別に各国の排他的経済水域(EEZ)171カ所ごとに、持続的な海洋環境の状態を100とした場合の現況を指数化したものです。総合スコアの世界平均が60点で、日本は69点で世界11位との結果になっています。  この日本のスコアを高いと見るか低いと見るかは、意見の分かれるところかと思っています。実際、メディアやネットでの反応も「思ったよりも高くてよかった!」という意見もあれば、「低くて、けしからん」あるいは「低くて、よかった」、さらには「思ったより高いのは、けしからん!」まで、様々なものがあるようです。また、「フクシマから放射性物質を大量に放出しているのに、評価が高いのはおかしい!」というご意見も私たちのところには寄せられています。(グローバルに入手可能なデータを使っているため、放射能汚染はOHIの評価には含まれていませんし、ほとんどのデータは時期的には震災前のものになっています。)


<世界>
<日本> 食料供給 24
56 零細漁業の可能性 87
93 海洋生産物

海をまもるための考え方 (その1)

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広報の磯部です。
今週8月16日、CIは海洋の健康を評価する「海洋健全度指数(Ocean Health Index:OHI)をリリースしました。OHIの論文は、15日午後1時(日本時間16時深夜2時)に科学誌「ネイチャー」(電子版)にて発表されました。 OHIは、人間生活と海の関わりを重視して、171の国や地域(排他的経済水域)の海洋状態を包括的に評価する世界初の取り組みです。
※OHIについて詳しくはプレスリリースをご覧ください。
世界初!海の健全度を数値化し、171の沿岸諸国を比較する、「海洋健全度指数(オーシャン・ヘルス・インデックス)Ocean Health Index:OHI」を発表
今日から複数回に分けて、OHIにも通じる、CIが海洋保全のコンセプトにしている「シースケープ」についてご紹介したいと思います。
夏真っ盛りの今、ふだん海に接する機会が少ない人でも、この時期は、海水浴へ出かけたくなりますよね。ダイビングで海の生き物を間近に見るのも良いですし、エコツアーなどで沖合いに出てシュノーケルをしたり。綺麗な海では沢山の海草やサンゴ礁を見ることができます。海の幸は、海岸近くいたるところで味わうことが出来ますが、海の素晴らしさはそれだけではありません。
健全な海は多くの生き物の住処であり、人は海から大切な食料を得たり、産業として収入を得たり、また、海草類の持つ炭素貯蔵の機能は気候の安定化にも重要な役目を果たしています。
CIは、環境保全を進める時に、そこに関わる人たちも含めた包括的な戦略作りを大切に考えています。なぜなら、自然は人間と切り離した存在ではなく、私たちはそうした自然から多くの恩恵を受けており、また、人間活動は自然に影響をもたらすからです。 地元に住む人々はもちろんのこと、行政や、間接的にその自然の恵みを得ている国々も含めた全てを一つと考えます。
CIは、2004年にそれまでの海洋管理、施策を大規模に改善するための新しいアプローチ、「シースケープ(Sea Scape)」を開発しました。※因みに“シースケープ“はCIの造語です。 「シースケープ」とは何かについて説明することはとても難しいのですが、一般的な「海洋保護区」との範囲を超えて、そこに人の生活が持続可能な形で営まれることが含まれています。
「シースケープ」を構成する9つの重要なポイント
1. 法的…

間違った方向に進んでいるのなら、スピードは重要なことではない

生態系政策マネージャーのNです。
先週、持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム(ISAP)という国際会議に参加してきました。

グリーン・エコノミーについての基調セッションでは、IPCCのパチャウリ議長がまず講演をしました。気候変動の対策をせずに、持続可能な開発はあり得ないこと、気候変動への適応は重要だが、ティッピングポイント(劇的変化が起こる境界線)があることを考えると、気候変動の緩和策は不可欠、また、緩和策の費用は経済成長を1年遅らせる程度ですむ、というような内容でした。

IPCCの第4次報告書をもとにしているので、新しい内容ではなかったのですが、講演の最後に引用していたマハトマ・ガンディーの言葉が印象に残りました。”Speed is irrelevant if you are going in a wrong direction” (間違った方向に進んでいるのなら、スピードは重要なことではない)。
これは、方向音痴な私だから心に響いたわけでも、間違っていることがわかった時に対応する時間が取れるようにスピードが大事などと反論したいわけでもありません。
その後に講演したアジア開発銀行のロハニ副総裁の話では、2050年までにはアジア地域のGDPが世界のGDPの約半分を占めると考えられるが、現在の先進国がたどった成長のモデルを繰り返してたのでは人類に未来はない。経済成長と環境の持続可能性を両立させたグリーン成長が必須だ、というお話でした。
ガンディーの言葉はここでも響きます。

また、グリーン成長の要素として、知識の成長も触れていました。
先の方向音痴の例に戻りましょう。単に道を間違えていたのであれば、戻ればいいのですが、元に戻れない理由が2つあります。
一つ目は、方向音痴だから来た道がわからないこと。これは、伝統的な知識であっても科学技術的なノウハウであっても、その情報が失われたら今あるものが再生できなくなることに似ています。もう一つの理由は、来た道が壊れて戻れないこと。これは、ティッピング・ポイントを過ぎてしまったことと同じです(この場合、方向音痴でなくても戻れませんが)。このような目に合わないための頼りが「科学」だと思います。気候変動が進行した場合の世界の様子は示されていますし、それを回避するためにしなければならないことも示されています。行先までの道のりと危…