枯渇しつつある天然資源が紛争を引き起こし得る、四つの事実

※本記事はCI Blogで3月26日にUPされた「4 Ways Dwindling Natural Resources Could Lead to Conflict」を日本用に編集したものです。原文はこちら

左から、CI副理事のハリソン・フォード、CI理事長ピーター・セリグマン、
米国外交問題評議会プレジデント、リチャード・ハース氏(© CI/photo by Andrew Kolb)

1991年にソマリア政府が崩壊して以来、外国漁船がソマリア沿岸近くに侵入し、沿岸に暮らす多くの人々の支えとなっている豊かな漁場で場代を徴収し始めました。「現地の漁師達にはもはや暮らしていくための手段がありませんでした」とCIの理事長でありCEOでもあるピーター・セリグマンは語りました。「しかし、彼らは船を持っていたので、生きていくために海賊となったのです。」

この話は、いかに天然資源の枯渇が人々に自暴自棄な手段を取らせるか、そして予期せぬ結果をもたらすかを表しています。例として、海賊行為の増加による治安上の脅威に対処するため、アメリカや他の国の軍事費が膨大に増加した事が挙げられます。

しばしば見過ごされがちな、生態系の健全さと紛争の間にある直接的なつながりは、先週ワシントンDCにある外交問題評議会(CFR)のオフィスで開催された国際的な資源、米国経済および国家安全保障というシンポジウムにおいて主題として議論されました。

CIと外交問題評議会(The Council on Foreign Relations :CFR)が共同で主催したこのイベントでは、自然資本-生物多様性と生態系によって人々にもたらされる利益とサービス-と、アメリカや世界中が抱える経済及び国家安全保障上の利益との間にある共通点について議論するために、さまざまなパネリストと防衛専門家、企業幹部、政府の代表者や科学者などを含む多様な観客を一度に召集しました。

CFRは、外交政策や紛争予防に対する専門性において最も良く知られている、世界屈指のシンクタンクです。国際的な自然保護の安全性問題に対するCFRの関心の高さは、従来の環境に関するテーマを超えて、この問題がますます関心を集めている事を示しています。

一日を通して、講演者達は水圧破砕法、小規模農家による農業、アフリカにおける中国の影響力の増加、水不足や食料価格など多様な話題に触れました。特に、パネリストによって引用された以下の四つの統計は、人々が共通して資源に依存していることから、紛争を悪化させる可能性もある、という警告として印象に残りました。

1. 260以上の河川領域が二カ国以上で共有されている
2. 4人に一人が主に魚から動物性タンパク質を摂取している
3. もし全ての農業生産物が明日消滅した場合、世界は約二ヶ月分の食糧しかまかなうことができない-これは歴史上最も低い値である
4. 2030年までに25億人の人々が水不足に陥る


連携と協働こそが、これらの重要な資源をうまく保護する唯一の方法であるというのは明らかです。アフリカにおける不足と安全保障と題されたパネルディスカッションにおいて、アメリカ国家地球空間情報局の主任歴史学者であるゲイリー・ウィアー博士は、ソマリアにおける海賊問題に対する長期的な解決策を可能にするためには、アフリカの角地域の海域における持続可能な漁業管理を推進するための地域協定が必要だと強調しています。

当日の最終セッションでは、CFRの代表であるリチャード・ハース、CIの会長およびCEOであるピーター・セリグマン、そしてCIの副理事であるハリソン・フォードの間で交わされた議論の中で、ハースは、何故誰もが世界における天然資源の国際的な保全と持続可能な管理において利害関係を持っているかについてまとめました。

「好むと好まざるとにかかわらず、目の前にその問題が迫っているのです。」と彼は語りました。「地球上に住む私たちの全てが、大きなゲートに守られて生活する富裕層ではありません。純粋な利己主義をつきつめていけば、あなたがこれらの物事に問題意識を持たなければいけない事に気付かされるはずです。」

by Molly Bergen, the managing editor of CI Blog


人気の投稿