【UNFCCC COP19】COP19総括

1111日から22日まで、ポーランド、ワルシャワにて、国連気候変動枠組み条約第19回締約国会議および京都議定書第9回締約国会議(UNFCCC COP19/CMP9)が開催されました。今会議で期待されていた主な成果は、2015年に合意が予定されている、世界中の国の参加を前提とした新たな気候変動合意の締結に向けた、今後2年間の交渉の道筋を作ることでした。交渉は全体的に難航したものの、最終的にはいくつかの進展も見られました。とりわけ、途上国が国レベルでの気候変動戦略を前進させるために不可欠な「途上国における森林減少と劣化に由来する排出の削減(REDD+)」のパッケージ合意や、適応において生態系が果たす役割についてなど、これまでCIが優先課題として推進してきたいくつかの項目では、重要な進展がありました。

この他にも、2015年合意のための基本的なパラメター(指標)やロードマップ(行程表)の構築など、いくつかの進展が見られました。資金に関しては、民間セクターの役割や市場メカニズムの取り扱いなど、未だ多くの課題が残されており、特に強力な合意形成には至りませんでした。資金問題は、世界規模での地球環境保全を推進するCIの活動の展開と実施に向け、重要な課題です。生物多様性条約や新たな「持続可能な開発目標(SDGs)」と重複する点でもあることから、今後、この問題について特に重視していきます。

資金:気候変動枠組み条約におけるほとんどすべての課題は、民間および公的資金による資金拡大が焦点となっています。資金に関して、細切れなコミットメントが散見される中、行程表も既に合意されている2020年時点で年間1,000億ドルを拠出するコミットメントを達成するための工程や方法のどちらも、残念ながら特段の合意形成には至りませんでした。

REDD+: 今回のCOPでの最大の成果は、REDD+のパッケージ合意の達成と言っても過言ではないでしょう。REDD+導入に関する各国交渉官らは、森林減少の要因、森林モニタリングシステム、セーフガード、参照レベル、そしてMRV(測定・報告・検証)プロセスなどの方法論的な課題について、効果的に合意形成を進めました。またREDD+の「結果に基づく支払い」や「支援体制のコーディネーション」など、資金支援に関する方法も合意に至りました。これは途上国が国家レベルでREDD+にコミットすることを後押しするために、非常に重要な決定となりました。

適応:長らく待ち望まれていた、気候変動による途上国への補償に関するメカニズム「損失と被害(Loss & Damage)」が合意に至りましたが、その詳細については、議論の余地が多く残されました。とはいえ、この合意は、多数の脆弱な国々が気候変動の影響に適応していくための支援となるでしょう。また、生態系機能の役割が、適応手段の実施におけるいくつかの合意に組み込まれました。生態系の喪失が及ぼす影響についての理解を深め、そして森林再生や回復の推進することにより、気候変動対策への様々な貢献が可能です。CIは、国家適応計画に生態系システムが果たす役割を統合していくためのリーダー的な役割を多くの国で担っています。今後これらの分野で国家政府へ政策提言を続けていきます。 

2015年合意:現段階での気候変動交渉で重要なのは、2015年までに法的効力がありかつ世界中の国々に導入可能な新たな気候変動合意の制定に合意することです。今会議は、その詳細を決める交渉の基盤づくりと、なんらかの進展を得ることが期待されていました。最も困難な課題は、先進国と発展途上国の担うべき責任をどのようにバランスをとるか、という懸案の克服にありました。結論は妥協的なもので、先進国・途上国双方にとって義務が軽減されています。成果文書の文言「約束(コミットメント)」を「貢献(コントリビューション)に差し替えられたのです。残りの交渉のための原則的な行程表については合意されましたが、2014年にリマで開催予定のCOP20までにドラフト合意文書の作成に向けた十分な進展を確保するには、締約国にはまだまだ多くの調整と作業が残されています。

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