持続可能な食生活は身近なところから  by ピーター・セリグマン

※本ブログ記事は2017年8月22日に米ウェブマガジン「OBSERVER」へ寄稿された、CI創設者のピーター・セリグマンによる記事を翻訳したものです。
“Think Small—Not Big—When It Comes to Sustainable Eating” by PETER SELIGMAN

私たちは地球を壊さない食べ物を求めることができるのです©Art Wolfe


“大きさ”はその影響力には関係ないということは、1963年の夏、ワイオミングの農場で牧草地に水を引いていたときに学んだことです。広々とした土地、広くて青い空は思い出としていつまでも私の中に残っていますが、私の心に響いたのはむしろ鳥やハチ、そして風の音など、とても小さなことでした。

そこでは、それまで私が何度も見聞きしたことのあるありふれたものが違って見えました。小さな自然の一部分がすべてに影響を与えうるという気づきは、環境をライフワークにするきっかけとなり、今日まで私の原動力となっています。

とてもよく管理された自然環境は、私たちが口にする食べ物を育てます。手入れをすればするほど、最も健康的な食生活を送っていくためにかかる時間もお金も節約することができます。私たちの日々の行動-通勤したり、歯を磨いたり、食べるものーと同じように、この地球の営みがこれからもずっと続いていくことは、重要なことなのです。

食べ物や飲み物を持続可能にするために必要な作物や原料を育てることは、時間とお金の莫大な投資のように思われるかもしれませんが、熟考し、日常生活を少しずつ調整することによって、農家や小売業者が将来の世代を養っていけるよう、持続可能に食糧を供給を促すことができるのです。

大きな変革のための小さな犠牲


大手流通業界は、ソーシャルメディアや新しいミレニアル家族から、増えつづける期待を受け、変わってきています。より多くの人々が人にも環境にも優しい、食べ物を求めているのです。言い換えれば、ある程度の数の人々が小さな変化を求めれば、企業や政府は、私たちの声に耳を傾けてくれるのです。

2009年カリフォルニア大学の10のキャンパスは大学の「持続可能な取り組みの方針(Policy on Sustainable Practices) の中に食料調達ガイドラインを作りましたカリフォルニア大学ではこれを受けて2020年までにキャンパス内の食べ物のうち20%を持続可能な供給先から入手するという到達可能な目標を設定しましたそしてカリフォルニア大学はこれを予定よりも4年も早く成し遂げました

この例は、広範囲なシステムを利用した地域での努力でしたが、個人でもオーガニックや自然に配慮した食べ物を選択することはできます。アイオワ州立大学のレオポルド農業センターの研究によると、長期的に見れば大手チェーンの食料品よりも地元で買い物をすることの方が経済的に持続可能性が高いことが分かりました。

よりクリーンな食生活に移行するために、生活を大きく変える必要はありません。新しい習慣を少し取り入れていくだけです。地元のオーガニック食料品店で買い物をし、食べ物を捨てる量を減らし、旬の食べ物を買い、食べ物に入っている特定の原料や添加物を意識することは一人ひとりが取り組めることです。大きなシステムは小さな変化を起こせば良いし、個人も小さな変化を起こしていけば良い。こうして周りのコミュニティーや地球のための持続可能な食糧供給に向けて一歩ずつ近づくことができます。


日常生活での持続可能な選択


パーム油は世界で最もよく使われている植物油であり、私たちの食べ物や歯磨き粉、そしてペットの餌にまでも含まれています。しかし、この油がこれほどまでに偏在しているということは、需要が高く、増え続けているということであり、つまり、マレーシア、インドネシア、リベリア、南アメリカの熱帯雨林の焼失や森林破壊を加速させるということを意味しています。

私たちのたった一つの地球を覆っているものを剥ぎ取っているところを想像してみてください。人間にとって森林破壊の代償は悲劇的です。移住しなければならなくなったコミュニティー、汚染された空気と水、急激に大気に放出される大量の二酸化炭素などです。繰り返しますが、今日、私たちは消費者として、森林破壊を起こさない製品や100%持続可能な農業によって生産されたパーム油を扱う店やウェブサイトで買い物をすることができるのです。

とても簡単ではありませんか?それは実際にそうだからです。持続可能性に注目するというのは、ラベルを読んだり、よく買い物をするお店やレストランに行くくらい簡単なことなのです。

スターバックスは、あちらこちらにあります。スターバックスは、コーヒー好きにとってはコーヒーショップのひとつに過ぎないかもしれませんが、将来のことを考えて、持続可能なコーヒー調達の基準を設け、森林を伐採して栽培されたコーヒーから、森林破壊せずに栽培されたコーヒーへと切り替えました。

CIの初期のころ、私はスターバックス創設者のハワード・シュルツ、そして当時のCEOであったオリン・スミスと、スターバックスのコーヒーがどのように生産されているか話しました。そこで、私たちは一緒に、熱帯雨林の日陰で育つコーヒーによって、同社がより持続可能な栽培を促進するための方法を考えました。

そこで出た結論は、「C.A.F.E.プラクティス」と呼ばれるもので、一杯一杯のコーヒーが、持続可能な方法で調達されていることを第三者機関が認証するものです。現在、スターバックスのコーヒーの99%はC.A.F.E.プラクティスに沿っており、スターバックスの不動の人気はこうした持続可能性に向けた取り組みを後押ししてくれています。つまり、朝や午後、スターバックスにコーヒーを求めて並ぶ顧客全員が、世界中のコーヒー栽培の方法を改善するのに貢献しているということになるのです。

15万ものサプライヤーを持っているウォルマート社は、持続可能な取引へと方向転換をし、同じような小売業者にとって新しい道を切り開きました。その方法は、社会的な意識の高い消費者の人々を満足させ、従業員のモチベーションを上げ、サプライチェーンの持続可能性を確保しています。そして、ウォルマート社は他社の先頭に立って、環境に優しい企業という地位を維持する持続可能な取り組みを常に模索し、実行し続けています。

マクドナルド社は森林破壊をしているといううわさから、一部の間で牛肉が「レインフォレストビーフ」と呼ばれるようになりました。1980年代後半、私たちはそのネガティブな評判からマクドナルド社を救い出す方法を探すために、元従業員で同社のバイヤーであったレイ・セスカと会いました。私たちはコスタリカからパナマにかけて広がるタラマンカ高地周辺で熱帯雨林を再生することに注力するAMISCONDEというプログラムを作り、慈善事業のためではなく、森林を再生するために農家にお金を払いました。マクドナルド社はまた、2020年までに同社が使用する牛肉の85%を持続可能なものにするという目標を立て、南米の店舗用の原料を育てるために、農家の妻たちとパートナーシップを組みました。

マクドナルド社の持続可能な社会へ向けた動きは、ハンバーガーだけにとどまりませんでした。2014年にはCIとパートナーシップを組み 「McCaféの持続可能性改善プラットフォーム」を立ち上げました。これはコーヒーの焙煎業者が、より持続可能なコーヒー製品を作れるように、コーヒー農家に栽培方法を指導することに注力した取り組みです。このプラットフォームでは、競合する焙煎業者たちが、よりクリーンで地球にやさしいコーヒー製品を作るためのアイディアを交換する場を提供しています。

力を合わせることで、私たちは自分たちの食べ物の生産方法を変えていく力を持っています。私たちは消費者として健康的な食べ物を求めることもできます。また、私たちは地球に悪影響を与えない食べ物を求めることができるのです。これらは私たちの権利であると同時に、子どもたちのために、将来を考える我々の義務でもあります。急速に拡大し、強化されているソーシャルメディアを通じて、私たちは何でもできるのです。私たちは購買者であり、私たちの好みや要求がサプライチェーンを形成するのです。個々の小さなアクションは何の力にもならないと思い込むことはとても簡単です。しかし、小さなアクションが力になるのです!






翻訳協力:中島美紗子
編集:CIジャパン

コメント

このブログの人気の投稿

スターバックスが初めての自社農園を購入